遺言

自筆証書遺言の書き方要件・法務局保管制度・検認

自筆証書遺言の書き方|要件・法務局保管制度・検認

自筆証書遺言は、全文・日付・氏名を自分で書いて押印する遺言です。財産目録の例外、法務局の保管制度(手数料3,900円)、検認が必要な場合と不要な場合、無効になりやすい点を一般論で整理します。

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自筆証書遺言の書き方とは

自筆証書遺言とは、遺言を残す人(遺言者)が、自分で書いて作る遺言です。公証人を通さないため、費用が少なく、思い立ったときに作れます。一方で、書き方のルールを守らないと無効になる恐れがあり、保管や発見の問題も出やすい方式です。

民法には、自筆証書遺言の方式が定められています(第968条)。基本は、遺言者が、遺言の全文、日付、氏名を自書し、これに押印することです。パソコンで本文を作成したり、他人に代筆させたりすると、原則として無効になります。

ただし、財産の一覧を示す「財産目録」については、自書でなくてよいとされています。パソコンで作った目録や、通帳のコピー、登記事項証明書を添付する方法も認められます。その場合は、目録の各ページ(両面にある場合は両面)に、署名と押印が必要です。

この記事は一般的な説明です。遺言の内容は家族関係や財産で大きく変わるため、重要な遺言は専門家に確認することをおすすめします。

自筆証書遺言の書き方の基本

自筆証書遺言で守りたい基本は、次のとおりです。

項目 基本の考え方
本文 全文を自分の手で書く(代筆・パソコン不可)
日付 作成した日を特定できるように書く(「令和◯年◯月吉日」は不可とされる)
氏名 自書する
押印 押印する(実印でなくてもよいが、実印が望ましいとされる)
財産目録 自書でなくてよい。各ページに署名・押印する
訂正 決められた方法で行う。迷うなら書き直す

法務局の保管制度

令和2年(2020年)7月から、自筆証書遺言を法務局(遺言書保管所)で預かる制度が始まりました。法務省の案内によると、次の点が特徴です。

  • 手数料は、保管の申請1件につき3,900円(収入印紙で納付)。
  • 保管先は、遺言者の住所地、本籍地、または所有する不動産の所在地を管轄する法務局。
  • 保管された遺言書は、家庭裁判所の検認が不要になる。
  • 予約のうえ、遺言者本人が出向いて申請する。
  • 紛失や改ざんを防げる。また、希望すれば、亡くなったときに指定した人へ通知する仕組みもある。

なお、法務局は、遺言の方式(外形)の確認はしますが、内容が有効か、内容に問題がないかまでは確認しません。この点は、見落とされやすい注意点です。

検認

法務局に保管していない自筆証書遺言は、遺言者の死亡後、家庭裁判所で「検認」を受ける必要があります。裁判所の案内では、申立てには遺言書1通につき収入印紙800円と連絡用の郵便切手が必要です。封印のある遺言書は、勝手に開封せず、家庭裁判所で開封します。検認は、遺言の内容が有効かを判断する手続きではなく、遺言書の状態を確認して偽造を防ぐ手続きです。

自筆証書遺言の書き方の具体例

自筆証書遺言の、文例の形を示します(内容は説明用の仮のものです)。

部分 書き方の例
表題 遺言書
本文 私は、次のとおり遺言する。1 長男〇〇に、別紙目録記載の不動産を相続させる。
日付 令和〇年〇月〇日(実際の作成日)
氏名・押印 住所、氏名を自書し、押印する
別紙 財産目録(各ページに署名・押印)

不動産は、登記事項証明書のとおり、所在・地番・家屋番号を正確に書くと、後の手続きで混乱を防げます。「自宅を長男に」といった曖昧な書き方は、争いの元になります。

自筆証書遺言の書き方の実践ステップ

  1. 財産と相続人を整理する。
  2. 誰に何を渡すかを決める。遺留分への配慮も検討する。
  3. 本文を、手書きで下書きしてから清書する。
  4. 財産目録を作る(パソコン可。各ページに署名・押印)。
  5. 日付、氏名、押印を確認する。
  6. 保管方法を決める。法務局の保管制度の利用を検討する。
  7. 内容を変えたくなったら、新しい遺言を作る(後の日付のものが優先される部分がある)。

自筆証書遺言の書き方の注意点

自筆証書遺言の書き方でよくあるミス

自筆証書遺言の書き方のチェックリスト

自筆証書遺言の書き方のFAQ(よくある質問)

筆者の見解(自筆証書遺言の書き方)

自筆証書遺言は、手軽さが長所ですが、「書けば安心」とは言えない方式だと考えます。形式の不備や、内容のあいまいさで、せっかくの意思が実現しない例があるからです。私見では、費用をかけられるなら公正証書遺言のほうが確実で、自筆で作る場合も、法務局の保管制度を使い、内容は一度専門家に見てもらう進め方が、現実的でバランスがよいと思います。

自筆証書遺言の書き方の関連項目

出典(一次情報)

本記事は一般的な情報の提供を目的としており、個別の法律相談・税務相談・社会保険労務の助言ではありません。法律や制度は改正されることがあるため、最新の内容は各省庁・裁判所などの公式サイトや、専門家(弁護士・司法書士・税理士・社会保険労務士・行政書士など)でご確認ください。「筆者の見解」は一つの考え方です。